レビー小体型は「脳神経内科」か「精神科」かで最初の治療が異なる
レビー小体型とアルツハイマー型の違いについて、今回で3回目のお話となります。
レビー小体型の患者さんではアルツハイマー型も患っている人が珍しくないのですが、レビー小体型の症状が強く出ている場合、初期では症状に個人差がかなりあります。
アルツハイマー型では多くの人に共通して「最初は軽い物忘れで、それが徐々にひどくなっていく」といった進行の仕方が見られますが、レビー小体型では各人それぞれの症状。それゆえに、別の病気として診断されているケースもあります。
レビー小体型の症状として大きく分けて、「パーキンソン病に似た症状」と「それ以外」があります。
どちらに該当するかで、受診する診療科も分かれ、最初の治療も変わってきます。
レビー小体型の原因物質は、パーキンソン病と同じ「レビー小体」なので、症状もパーキンソン病と共通する部分があります。手の震え、歩行が小刻みになる、仮面様顔貌(顔の表情が仮面のように乏しくなる)などです。これらの症状が見られた場合、かかりつけ医(あるいはたまたま受診した医師)はパーキンソン病を疑い、脳神経内科への紹介状を書くでしょう。そして、パーキンソン病と同じ薬を少量投与される治療を受けることになると思います。
そのまま経過を観察し、背後にレビー小体型があるとなれば、認知症の治療に移行していきます。
一方、「その他」の症状の場合。具体的には、睡眠中に立ち上がって歩き出したりするレム睡眠行動障害、カーテンや壁のシミが何かに見えたり、何もない場所に小さな虫がいっぱい見えたりするなど実際はないものが見える幻視、実際はない音や声が聞こえる幻聴(家の周りをバイクが走り回っているなど)。幻視・幻聴は、例えば「カーテンの影にいる人が私の財布を盗んでいった」といった被害妄想に発展することもままあります。
これらの症状では、精神科につながることがほとんどです。レム睡眠行動障害には、筋肉の緊張を和らげレム睡眠中の異常な行動を抑える効果のある薬「クロナゼパム(商品名リボトリール、ランドセン)」が、幻聴・幻視では、日常生活に影響を及ぼしていると考えられる場合、抗精神病薬が使われます。