精米「目詰まり」で備蓄米大行列は解消ならず…工場フル回転も大手の余力はゼロ
「通常の銘柄米に加え、江藤前農相時代に入札で放出された備蓄米、そして随意契約の備蓄米まで引き受ければ、現場の負担は重い。それでも『早く早く』と随意契約分の精米をせかされるので最優先させ、すでにキャパ以上で取り組んでいますが、いっぱいいっぱいです」(精米業界業者)
■全ての処理に最低でも50日かかる
精米の余力には地域差も目立つ。
関東地域(16社)が150~180トンと全体の約6割を占め、九州(6社)の22トン、近畿(8社)の21トン、中部(7社)の13トンとは相当な開きがある。精米後のコメは長期保存が困難なため、コメ卸は大消費地の近郊に精米工場を設ける傾向にあるという。
「また、精米の委託先をスムーズに確保できた小売業者と、確保に難航している業者との間で、店頭に並ぶ備蓄米の数に差が生じているようです」(前出の関係者)
日本精米工業会によると、会員企業の精米取扱量は1日換算6000トン前後。対する随意契約で放出する備蓄米は30万トンだ。単純計算で全ての精米には最低50日、1カ月半以上かかる。現実には銘柄米なども請け負うため、さらに時間を要する。工場をフル稼働させて精米し、ピストン輸送で納入しても店頭に並ぶ数には限度がある。皆が備蓄米に飽きなければ、大行列は解消できない。
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備蓄米をめぐる一連の騒動は、さながら“踊る進次郎コメ劇場”だ。関連記事【もっと読む】【さらに読む】で詳しく報じている。